民事再生申立てと仕入先・外注先への支払い
1 民事再生では、これまでどおり仕入先等にお付き合いをお願いするのが原則 2 民事再生法により、仕入先・外注先への支払いができない可能性がある 3 少額債権の保護制度等の活用で仕入先等への支払いを継続する 4 申立前開始決定後の取引分は、共益債権化の承認制度を利用する 5 まとめ
1 民事再生では、これまでどおり仕入先等にお付き合いをお願いするのが原則
民事再生は、事業を続けながら収益を上げて、減額してもらうにしても債務を返済していく手続きですから、従前お付き合いのあった仕入先や外注先とお付き合いを続けることは、必要不可欠です。
民事再生の申立てをしたことは、報道されることも多く、仕入先や外注先にも知れることになりますが、今まで掛け払いを認めてくれていたところが現金払いになったり、取引自体が打ち切られると、余計事業の立て直しは難しくなります。
そこで、基本的には従前どおりの支払条件でのお付き合いをお願いするのが原則になります。
2 民事再生法により、仕入先・外注先への支払いができない可能性がある
民事再生をすると、その時点で未払いになっている債務はすべて平等に支払いを一旦ストップしなければならないのが原則です。
掛け払いでは、どの日でも、仕入や工事をしたがまだお金を払う日が来ていないものが存在するのが通常です。
たとえば、10日締当月末日払いなら、3月15日時点では、2月11日から3月15日分が、3月末日や4月末日まで払う日がこないため、未払いで残っています。
これにより、仕入先・外注先で掛払いになっているものは、支払いができなくなる可能性が出てきます。
3 少額債権の保護制度等の活用で仕入先等への支払いを継続する
民事再生する会社を主要取引先とする中小企業者が、支払を受けないと事業の継続に著しい支障をきたす場合(民事再生法85条2項)や、おおむね10~20万円程度の少額債権の場合(民事再生法85条)等は、約束どおり支払をすることが認められることが多いですので、この制度の活用を検討します。
4 申立前開始決定後の取引分は、共益債権化の承認制度を利用する
民事再生申立てをして開始決定がなされるまでの間は、原材料の購入等事業の継続に欠くことができない行為をする場合に、裁判所や監督委員の許可を得て、共益債権という支払いをしてもよい債権と認めてもらう制度があります(民事再生法120条)ので、弁護士に申請してもらう必要があります。
5 まとめ
仕入先や外注先との取引を継続するため、法律の問題点をクリアしながら、約束どおり支払をする方法を検討しなければなりません。
それでも未払いが残る場合は、それを前提に今後は約束どおり必ず払う旨を説明して取引の継続をお願いすることになりますが、詳細は、弁護士までお尋ねください。